「個性をあおられる子ども」~自分探しの旅への変貌~

社会学者の土井隆義は個性が重視される現代の若者の「個性的」のとらえ方が、従来考えられた「個性的」の概念とは違ったものになっている。と指摘している。

若者たちが切磋する個性とは、社会の中で作り上げていくものではなく、あらかじめもって生まれてくるものです。人間関係の中で切磋琢磨しながら培っていくものではなく、自分の内面へと奥深く訳は言っていくことで発見されるものです。

自分の本質は、この世界に生まれ落ちたときからすでに先在していると感受されているのです。

 したがって、もし自分の本質がよくわからないとすれば、それは自分の内部に住んでいるはずの可能性にまだ気づいていないからだということになります。

自分らしさをうまく発揮できていないのでは、自分が輝いていると感じられないのは、秘められた「本当の自分」をまだ発見できていないからにすぎないのです。

だから重要なことは、なんとかそれを見いだして、うまく開花させることだと思っているのです。

(「個性」を煽られる子どもたち 土井隆義

 

「個性」も就業や訓練によって身に着けるのではなく、内に向かう「自分探し」の末に見つけるのものに変貌してしまったのだろうか。